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古民家改修の仕事を、いくつか紹介します。

2009年に「旧浜松警察署」の保存活動や改修工事に携わったのをきっかけに、浜松市を中心として、地域に遺った歴史的建造物や古い街並などの調査や保存・改修の活動にも参加する機会が増えました。古い建物に備わった、その重厚感や厚み、手作りの味わいは、現代産業では成し得難い、掛替えの無いものです。地域の歴史や記憶への視線は、現在の住宅設計においても、欠かせない要素になるものと考えています。 

SAK邸改修工事-2005

江戸時代慶長年間に建てられ、昭和35年に大規模改修があり、茅葺から瓦屋根に変わりました。その後も度々増改築がなされ、事務所付き住宅として使用されていました。今回の改修では、主要な軸組みだけ残し全面リニューアルされました。建物を取り囲む樹齢数百年ノケヤキ保存林からの落葉対策として、4.5尺の深い軒出の寄棟とし、樋は設けず、地表に雨落ちを巡らしました。

耐震対策は、既存主要軸組の外周に3.0尺幅のRC基礎を打ち、1.0間ピッチに耐力壁を設けました。

改修工事前の南側外観。

KAY邸改修工事-2014

昭和30年代に建てられた小振りな民家です。伝統的な田の字の間取りですが、当初から広めの玄関とダイニングキッチンが構えられていました。改修内容は、外周及び床下に鉄筋入りの基礎を増設補強。屋根は、下地改修とともに断熱材を布設、瓦も全面葺き替えました。外壁面は外断熱としサイディングを張っています。南面に独立柱を増設し軒先を伸ばし、庭に面して濡れ縁を作りました。内部は、台所を含む水廻りと北側居室の改築、小屋裏納戸の増設工事です。​北東角を吹抜けの家族室とし、高窓からの採光を図っています。

改修工事前の南側外観。

明治屋醤油改修工事-2015

明治3年創業の、醤油屋店舗部分の改修工事です。大正6年、道路側に店舗が移築・増築され、昭和になって、その上部に従業員用の居室が増改されました。その後にも改築が施され、長い間、二階建ての景観で地域に親しまれてきました。今回の改修工事では、耐震性向上のためもあり二階部分を撤去し、大正6年当初の外観に戻すとともに、店舗内部も築造当初の姿に近づける努力がなされました。また、南の庭との関係も修復されました。

 2017年には、国有形文化財として登録されました。

改修工事前の道路側外観。

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